NHKをはじめとするテレビ、新聞、雑誌など多数のマスメディアへ出演、紹介されました。
日時/2010年8月4日/5日/6日/7日の4日間
会場/スパイラルガーデン [スパイラル1F] 港区南青山5-6-23
主催・企画・キュレーター/天明屋 尚
8月4日のオープニングレセプションには、2,000人もの動員がありました。4日間しか行われなかったイベントですが、計6,000人が入場され大盛況でした。その動員数からもわかるように、とても興味深いイベントであったことは間違いないようです。
私もこのイベントに協力し、桃山時代や江戸時代の変わり兜を展示しました。数百年の時を超えても、未だ驚かされる甲冑アートの世界。それは、命懸けで戦ってきた武将の信仰心・強さの憧れ・想い入れなどがモチーフになっている。見る人を釘付けにする度胆を抜いた変わり兜のデザインは、現代にも通ずる美意識を持っているのでしょう。
このBASARA展が、日本に於ける独自の美学や日本文化を考える一つのきっかけとなったのではないでしょうか。
-森崎 干城-
華を求め、武を好む「BASARA」の美意識は、絢爛かつ反骨。
その視覚において「贅(ぜい)」であり、同時に心持ちにおいて「破」であるという、二つの要素が一つである一体の美学です。
つまり、目を引く華美な外見とともに、既存の秩序に反抗し、乗り越えようとする脱構築の趣向もまた重要であるという「両義性」の上に成立します。
もともと「婆娑羅(ばさら)」は、中世の南北朝時代に流行した社会風潮で、華美な異風に身を包み、権威を嘲笑し奢侈な振る舞いを好む美意識の持ち主を指す。
今展は、「BASARA」という日本のストリート文化史の特異点から、日本の文化軸と歴史軸をダイナミックに直結させ、美術史を大胆に読み替える新たな試みである。
現代作家の作品はもちろん、縄文土器、金碧障壁画、変わり兜、織部茶碗、浮世絵、日本伝統刺青、デコトラ、グラフィティ、劇画、age嬢のデコ文化など、幅広い分野にわたる。
これらを通して、硬直化した日本の文化観、伝統観、ヒエラルキーに対し下剋上を突き付け、流派ならざる流派「BASARA」の系譜として新たな美の基準を示したい。
-天明屋 尚(主催・企画・キュレーター)-
■この兜の構造 | 張懸兜である。本体の兜鉢は、兜巾形である。 |
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■兜巾とは | 山伏と呼ばれる修験者の冠る頭巾で、頂上で絞って結び十二の壁を作った。 これは、仏教による十二因縁を象ったものである。 |
■貝の意匠 | 「甲斐のある働きをする」という意味があり、貝をモチーフにしたデザインは時々甲冑に見られる。 |
■蛤の例え | 蛤は、口を開くことが大変難しいことから「口を割らない」ことの例えにもされます。 |
■兜巾と蛤の 意匠の意図は? |
修験者信仰の武将が敵を調伏すると言う気持ちの表現と、どんなに強固な敵が来ても 蛤の殻を割るように進んでみせるという、武将の意気込みを示しているように思う。 |
■伝来 | 土佐山内家の家老の家に伝わった兜。 |
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■「小」「大」の意味 | どんな小さいものから、どんな大きなものまでもと言う「すべて」を意味する。 |
■この兜の意匠の意図は? | すべての物を、錐の如く貫き通すという武将の意気込みであろう。 |
■大きなデザイン・ 高さのあるデザインは、なぜ? |
当時の合戦場は、見晴らしの良い平地が主であった。 そこで、大きなデザインや背の高い兜が、遠方からでも良く見える 威容のある姿である。 |